○甲良町議会基本条例
令和5年12月13日
条例第31号
目次
前文
第1章 総則(第1条)
第2章 議会及び議員の活動原則(第2条・第3条)
第3章 町民と議会の関係(第4条)
第4章 町長と議会の関係(第5条~第8条)
第5章 自由かっ達な討議の拡大(第9条)
第6章 議会及び議会事務局の体制整備(第10条~第12条)
第7章 議員の身分・待遇及び政治倫理(第13条~第15条)
第8章 最高規範性及び検証・見直し手続(第16条~第19条)
附則
甲良町議会は、地方自治法第1条の2の趣旨に則り、町民全体の福祉の増進、向上の責任を有する。
町民の直接選挙により選ばれた議員は、甲良町の二元代表制の一翼を担い、重要な意思決定をする。議会は、町民の負託に応えるために、政策決定及び町行政の監視機関であるという使命を十分に発揮し、自由かっ達な討議をとおして、政策等の論点、争点を発見し、最良の意思決定をしなければならない。そのためには、議員の資質向上を図るとともに、広く町民の意思を把握し、甲良町の意思決定に反映させることが不可欠である。
この使命を達成するために、積極的な情報の公開と共有、政策活動への多様な町民参加の推進、自由かっ達な討議の展開、町長等の行政機関との緊張関係の保持、議員の自己研さんと資質の向上、公正性と透明性の確保、議会活動を支える体制の整備等について、この条例に定め、議会としての独自の議会運営のルールを遵守し、実践することにより、町民に信頼され、責務を果たす議会を築くため、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、地方分権と地方自治の時代にふさわしい、町民に身近な意思決定機関としての議会及び議員の活動の活性化と充実のために必要な、議会運営の基本事項を定めることによって、町民誰もが安心して暮らせる甲良町政の実現に寄与することを目的とする。
第2章 議会及び議員の活動原則
(議会の活動原則)
第2条 議会は、町民主権を基礎とする町民の代表機関であることを自覚し、公正性、透明性及び信頼性を重んじた議会、町民に開かれた議会並びに町民参加を不断に推進する議会を目指して活動する。
(議員の活動原則)
第3条 議員は、議会が言論の府であり、議決機関であることを十分に認識し、議員の自由かっ達な討議を尊重しなければならない。
2 議員は、町政の課題全般について、町民の意見を的確に把握するとともに、自己の能力を高める不断の研さんによって、町民の代表にふさわしい活動をするものとする。
3 議員は、全体の奉仕者として、個別的な事案の解決だけでなく、町民全体の福祉の向上を目指して活動しなければならない。
第3章 町民と議会の関係
(町民参加及び町民との連携)
第4条 議会は、議会の活動に関する情報公開を徹底するとともに、町民に対する説明責任を果たすことに努める。
2 議会は、全ての会議を原則公開するとともに、町民の意見が反映されるような措置を講じるものとする。
3 議会は、本会議及び委員会の運営に当たり、参考人制度及び公聴会制度を十分に活用して、町民の専門的又は政策的識見等を議会の討議に反映させるものとする。
4 議会は、請願及び陳情を町民による政策提案と位置付けるとともに、その審議においては、これら提案者の意見を聴く機会を積極的に設けるよう努めるものとする。
5 議会は、町民、町民団体、NP0等との意見交換の場を多様に設けて、議会及び議員の政策形成能力を強化するとともに、政策提案の拡大を図るものとする。
6 議会は、議案に対する各議員の態度を議会広報で公表する等、議員の活動に対して町民の評価が的確になされるよう情報の提供に努めるものとする。
7 議会は、前各項の規定に関する実効性を高める方策として、町民に対する議会報告会及び意見交換会を開催することができる。
第4章 町長と議会の関係
(町長等と議会及び議員の関係)
第5条 議会の本会議における議員と町長及び執行機関の職員(以下「町長等」という。)の質疑応答は、広く町政上の論点・争点を明確にするため、一問一答の方式で行う。
2 議長から本会議、常任委員会、特別委員会への出席を要請された町長等は、議員の質問に対して議長又は委員長の許可を得て、質問の趣旨を答弁に必要な範囲で反問をすることができる。
3 議員は、町長の指揮下にある各種審議会等附属機関への委員としての参加は、極力控えるものとする。
(町長による政策等の形成過程の説明)
第6条 議会は、町長が提案する計画、事業等(以下「計画等」という。)については、次に掲げる事項等の詳細を明らかにするよう求めるものとする。
(1) 各種計画における根拠又は位置付け
(2) 各種計画における比較検討した事項等の内容
(3) 関係がある法令及び条例等
(4) 各種計画等の実施に係わる財源措置
2 議会は、町長から提供された情報を基に論点・争点を明確にし、執行後における政策評価に資する審議に努める。
(予算・決算における政策説明資料の作成)
第7条 議会は、予算案及び決算の審議に当たり、前条第1項の規定に準じ、町長に対し、分かりやすい説明資料を求めることができる。
(監視及び評価)
第8条 議会は、町長等の事務の執行について監視する責務を有する。
2 議会は、議場における審議、決算の認定、監査の請求、調査の実施等を通じて、町長等の事務の執行について検証し、町民にその評価を明らかにする責務を有する。
第5章 自由かっ達な討議の拡大
(自由かっ達な討議)
第9条 議会は、議員による言論の府であることを十分に認識し、議員の討議を活発に進める。
2 議会は、本会議、常任委員会、特別委員会等において、議員提出議案、町長提出議案並びに請願及び陳情に関して審議し結論を出す場合は、議員の自由かっ達な討議により議論を尽くして、町民に対する説明責任を十分に果たさなければならない。
3 議員は、前2項の規定による議員相互間の自由かっ達な討議を拡大するため、政策、条例、意見書等の議案の提出を積極的に行うよう努めるものとする。
第6章 議会及び議会事務局の体制整備
(議会事務局の体制整備)
第10条 議会は、議会及び議員の政策形成及び立案能力を高めるため、議会事務局の調査・法務機能を積極的に強化する。
(議員研修の充実強化)
第11条 議会は、議員の政策形成及び立案の能力の向上等を図るため、議員研修の充実強化を図り、この条例の理念を議員に浸透させるよう努めるものとする。
2 議会は、議員研修の充実強化に当たり、広く各分野の専門家、町民各層等との議員研究会を積極的に開催するものとする。
3 議会は、議員の資質向上のため、図書の充実を図るものとする。
(議会広報の充実)
第12条 議会は、町政に係る重要な情報を、議会独自の視点から、町民に対して周知するよう努めるものとする。
2 議会は、情報技術の発達を踏まえた多様な広報手段を活用することにより、多くの町民が議会及び町政に関心を持つよう議会広報活動に努めるものとする。
第7章 議員の身分・待遇及び政治倫理
(議員定数)
第13条 議員定数は、別に条例で定める。
2 議員定数の改正に当たっては、行財政改革の視点だけでなく、町政の現状と課題、将来の予測と展望を十分に考慮するとともに、議員活動の評価等に関して町民の意見を聴取するため、参考人制度及び公聴会制度を活用することができる。
(議員報酬)
第14条 議員報酬は、別に条例で定める。
2 議員報酬の改正に当たっては、行財政改革の視点だけでなく、町政の現状と課題、将来の予測と展望を十分に考慮するとともに、議員活動の評価等に関して町民の意見を聴取するため、参考人制度及び公聴会制度を活用することができる。
(議員の政治倫理)
第15条 議員は、町民全体の代表者としてその倫理性を常に自覚し、社会規範を率先垂範し、自己の地位に基づく影響力を不正に行使することによって、町民の疑惑を招くことのないよう行動しなければならない。
第8章 最高規範性及び検証・見直し手続
(最高規範性)
第16条 この条例は、議会における最高規範であって、議会は、この条例に違反する議会の条例、規則、規程等を制定してはならない。
(議会及び議員の責務)
第17条 議会及び議員は、この条例に定める理念及び原則並びにこれらに基づいて制定される条例、規則、規程等を遵守して議会を運営し、もって町民を代表する合議制の議決機関として、町民に対する責任を果たさなければならない。
(検証)
第18条 議会は、議会改革を不断に実行するため、適切な機会に、議会内容及びこの条例に基づく議会活動を検証しなければならない。
(見直し手続)
第19条 議会は、制度の改善が必要な場合は、この条例の改正を含めて適切な措置を講じるものとする。
2 議会は、この条例を改正する場合には、全議員の賛同する改正案であっても、本会議において、改正の理由及び背景を詳しく説明しなければならない。
附則
この条例は、令和6年2月1日から施行する。